志願十ヶ条
大日本愛国党志願十ヶ条
一、我党は親米反共の路線を明確にし、自由世界の堅確なる連繁を通じて、アジアの解放と日本の隆昌とを実現する。
一、我党は君民共治の国風の上に、日本的民主主義を発展せしむることを念願とし、徒に外国直訳の思想と制度とに追随せず。
一、我党は独立国家としての面目を保つために、濫りに経済的に他に依存するを欲せず、勤勉と寡慾の国民性を発揮して自立的国民経済の態勢を確率せんことを期す。
一、我党は自衛の軍備を速に確立し、日米安保の精神を尊重すると共に、独立日本の面目を全うせんことを期す。
一、我党は国民の正しき良心を代表し、徒らに多数を誇る醜悪政党を粛清克服し、以て一日も速に日本政治の指導力を足らんことを期する。
一、我党は日本経済の発展が中小企業の貢献に保つ所多きを信じ、これが育成擁護のために特に力を尽し、大資本の横暴にむかって挑戦する。
一、我国の労働運動はマルクス、レーニンないし西欧労働運動の焼き直しにすぎず。我党の実情に副わざる点多く、ことに中小工場の労働者等に適用しがたい点が少くない。労使の関係を徹底した敵対関係と見ず、両者の間に国家産業人としての精神的並に物資的共通点の存することを前提とせる日本的労働運動を発展せしめることに努力する。
一、我党は課税の徹底的軽減を主張するが、その目的は行政整理思い切った実行と現在の国会並に中央・地方官庁における甚しき乱費に大斧鉞を加えることにある。国民の文字通り血と汗の塊が、役人と議員の飲み喰い代や視察、出張を名とする遊興費使われることは黙視できない。
一、我党は祖国の伝統を重んじ、無批判に新奇を追う傾向に反対する。終戦後、日本の憲・法その他諸法律を始め、教育制度、社会制度等の全面に亘る改革が行われたが、その中には我が良俗を紊る改悪と見られるものが少なくない。これ等のものに正しい再検討を加え、祖国本来の美風を宣揚することは我党の任務である。
一、我党は徒らに他を批判するに急で自ら反省することの足りない現代の悪風潮に反発する。されば党首以下常に自粛自戒して精進に勤め、公生活においてはむろんのこと私生活において苟しくも他の指弾をうけないことを誓約する。
昭和二十六年九月
大日本愛国党 赤尾 敏